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    かけはし2021年3月1日号

コロナ禍の中で市民が選択


千葉県知事選

分裂・大混戦の中での選挙

新しい動向に注目しよう

立候補予定者の顔ぶれ


 3月5日告示、21日投開票の千葉県知事選にはこれまで7人が立候補を表明している。
 全国政党が支援するのは、弁護士で自民党県議の関政幸(41)、立憲民主党が支援する千葉市長の熊谷俊人(42)、共産党県西部地区役員で安保関連法に反対するママの会@ちば≠フメンバーとして活動を続けてきた金光理恵(57)の3人。れいわ新選組は舩後参議院議員が松戸市議選立候補経験者、次期総選挙に3名を公認しているが、一部のサポーターを除き動きがみえない。日本維新の会、N党の動きはない。
 そして元船橋市議で参議院千葉選挙区に安楽死を考える会公認で挑戦経験のある門田正則(73)、前回知事選では野党候補統一のため立候補をとりやめ、社民党推薦で衆院選に挑戦した元県立高校長の皆川真一郎(66)、非常勤医師の加藤健一郎(71)、人材紹介会社社長の河合悠祐氏(39)が無所属で立候補すると表明している。
 森田健作の3期目の任期は4月4日に終わる。

自民分裂、公明自主投票

 4年前の知事選前、熊谷千葉市長が立候補を検討しているとの情報が錯綜した。
NTT職員だった熊谷は民主党の千葉市議公募に応募し、07年に稲毛選挙区でトップ当選、現職辞任による09年6月の市長選で当時としては最年少31歳で当選した。熊谷の二期目以降の市長選は、自民は分裂、公明は支援側、共産は独自候補で、現時点の知事選の構造にもつながる。
森田は熊谷より3カ月早く知事になる。知事と県都の首長としての時期は重なるが、2人には知名度と政治経験に大きな差があった。
この差を詰めたのが19年の台風15号への対応だった。「週刊文春」は11月21日号は「森田健作知事に新疑惑私的視察≠フウソと政治資金ネコババ」をトップ記事に据えた。森田は被害報告のある自治体へは向かわず、公用車を使って芝山町の自宅に向かった。熊谷は被災自治体の首長の一人として知名度を増していく。「自民党は森田の処遇をいつ決めるのか」が焦点となった。
森田を見限っていた自民党県連は熊谷を上回る知名度がある人物として、スポーツ庁長官を退任する習志野高校出身の鈴木大地を選んだ。本人の内諾は得たが、森喜朗の同意は得られず、白紙に戻った。森は「事実上の分裂選挙になる恐れを懸念」したと報じられている。
自民は内部人材で熊谷に勝る素養、若さで県議の関を担ぎ出した。
文春砲によって千葉13区の白須賀貴樹が自民党を離党した。このスキャンダルにより、公明党県本部は自主投票とする公算が強まった。公明県代表の平木大作参院議員は「勝てる候補を支援するのが基本スタンス」と朝日新聞(ちば版2月21日)の取材に語っている。

自民党は「底なし」に

 ウィキペディアでの「白須賀貴樹」は、今回のスキャンダルを文春砲の当日に更新している。今回は「不祥事・批判」の7つ目だ。@政治資金収支報告書の未記載、A山尾志桜里議員へのヤジ、Bマタニティハラスメント疑惑、C秘書の当て逃げ事故、D秘書らによる選挙妨害事件、E中国企業から100万円受領、Fは今回。Dは「(19年県議選で)初当選した新人女性県議高橋祐子が河野太郎外務大臣とともに写るポスター120枚が民家の敷地内など約40カ所で剥がされた」というもの。この件で、千葉13区内の全県議が反発、昨年にはすでに自民党県連を通じて党本部に白須賀の議員辞職や離党勧告を求める嘆願書が出されていた。
県連に自浄作用が働いたのか、党本部にそれがなかったのか。自民党が落ち込む「底」がみえない。その起源を森田県政の12年間より以前、自民党千葉が国政よりも先に野党となった01年にさかのぼる。堂本暁子知事は「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」を自民党を説得して同趣旨の条例としては国内で最初に成立させた。いっぽう「千葉県男女共同参画の促進に関する条例(案)」は自民党の反対により、全国で唯一、同趣旨の条例がない県のままだ。千葉はバックラッシュでの先行地となった。このとき条例つぶしを長谷川三千子と後押しした高橋史朗は現在、首相を議長とする男女共同参画会議の議員として、昨年末に決定した第5次基本計画での選択的夫婦別姓の実現を後退させる役割を担った。
自民党は2月21日付で「関さんの活動を全力で応援します」という「自由民主」の号外を新聞折り込みで配布した(おそらく全県)。関県議を、猪口邦子参議院議員と3人の自民党県連女性県議が囲む。写真には小さめに「日本一の千葉県へ。」とある。自民党県連所属の国会議員は衆参合わせて18人、うち女性は猪口議員のみ。県議は53人中3人が女性だ。

だれに投票するか


4年前に知事選では新しい知事を選ぶ会、千葉≠ヘ野党共闘の候補者擁立を実現させた。選ぶ会は19年10月に新しい知事を選ぶ会、ちば2021≠始動し、野党共闘を目指した。同会の共同代表・関根由紀世さんは「立候補を表明した候補予定者とのかかわりを持つ市民もいることから、擁立は見送るという結論にいたりました。これは関わる人、一人ひとりの思いを尊重する結果だった」と状況を評価する(松戸市民ネット―ワーク「松戸で生きたい私たち」が発行するミニコミ「たんぽぽ」2月1日号から)。
2月12日、みどり千葉・市民自治の会≠ノよる公開討論会がオンラインで開催された。5人の参加を予定していたが、門田はオンライン環境が整わないという理由で、関は開始4時間を切った時間に事務所から欠席の連絡があり、参加は熊谷、皆川、金光の3人だった。関は事前アンケートへの回答も届かなかったという。この様子はyoutubeでも視聴できる。
安保関連法に反対するママの会@ちば≠ヘ6人に10項目ほどの公開質問状を送り、これまで金光、皆川、門田3人の回答があり、全員が同じ回答であった。「成田空港の軍事利用について」の賛否を問う質問に、3人とも反対であった。
千葉県知事選ではだれに投票するか。関を落選させることは自明だ。今年はこれから福岡、秋田、静岡、茨城、宮城県知事選などがある。これに4月25日の補選、総選挙がくわわる。都議選もある。まずは千葉を注目してほしい。
(2月22日 斉藤浩二)

 


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